「代わりにやる」はお客様のためになるのか?

ためになるのはどっち?
ためになるのはどっち?
仕事観

誰かが困っている時の手助けの方法は2つあります。
1つは「代わりにやる」ということ。
そしてもう1つは「やり方を教える」ということです。
両者は似ているようで全然違います。
会計事務所とお客様の関係の場合、「代わりにやる」と「やり方を教える」では、どちらがお客様のためになるのかについて考えてみました。

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代わりにやってあげる

会計事務所の仕事で「代わりにやる」の代表格は記帳代行です。

会計業務を全て会計事務所へ任せることで、お客様としては煩わしさから解放され、その分本業に力をを入れることができます。
しかし、お客様自身が数字に強くなりにくいというデメリットがあります。

記帳代行以外でも、お客様の代わりに会計事務所がやることは多くあります。
申告書の作成などの税務に関する仕事については当然ですが、税務以外の業務ですと、工業統計調査の入力などがあります。

工業統計調査は、基本的には決算書の数字を入れれば良いのですが、一般の方にはどこにどの数字を入れるかわかりずらかったりします。
ですので、お客様に代わって会計事務所が記入することがよくあります。
(ただ単に記入がめんどくさくて会計事務所に依頼する場合もありますが・・・)

また、お客様の中には、労働保険や社会保険の書類関係なども、会計事務所に依頼される方もいらっしゃいます。

本来は、労働保険や社会保険に関する業務は社会保険労務士の業務ですので、会計事務所がこれらの書類を記入することは社労士法違反となる可能性があります。
しかし実際は、会計事務所が代行して記入することがあるのも事実です。
(私は代行して記入することはやりませんが)

会計事務所からすると親切心でやっているのだと思いますが、お客様からすれば会計事務所の仕事だと勘違いされている場合がほとんどです。

 

代わりにやるはお客様のためになるのか?

代わりにやるというのはその時だけを見ればお客様のためになります。

それが一生に1回のことであれば、やり方を教えたとしても次にお客様がそれをやる機会はありませんし、10年に1回のことであれば、やり方を教えたとしても次の時には忘れています。
また、それがただの作業であり、お客様がやることに意味がなければそれは会計事務所が代わりにやる方が合理的とも言えます。

その他にも、お客様に一旦やってもらってから会計事務所で確認して修正するよりも、初めから会計事務所でやってしまった方が早いという考えもあります。

そういった事情から、会計事務所はお客様にやり方を教えるよりも、お客様の代わりにやることが多いのです。

しかし、毎年発生することであったり、それをやることがお客様にとって意味があるのであれば、やり方を教えた方がお客様のためになると言えます。

ですから、私は記帳代行よりも自計化を勧めます。

自計化をすることで、数字に強くなり、会計データを経営に活かせるようになります。

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なんでもお任せくださいは危険

なんでも会計事務所がやってしまうのは、お客様の考える力を奪うことにもなります。

以前、こんなことがありました。

あるお客様の確定申告をしている時に、その年は入院されていたようで医療費が多く発生していました。
もちろん、医療費控除を適用する必要がありますが、確認しなければならないのが高額療養費や、医療保険の保険金が入っていないかということです。
高額療養費や医療保険の保険金があるのであれば、それらの金額は医療費から控除しなければなりません。

お客様に確認したところ、
「高額医療の戻りの申請も会計事務所がやってくれるんじゃないの?」
と言われました。

どうやら、医療費控除と高額療養費の申請を混同されていたようです。

慌てて、高額療養費の申請をすぐにやってくださいと伝えました。
(高額療養費の時効は2年です)
結果的にその分の医療費控除を適用しなくても、税額に影響なかったのでよかったのですが、この件は色々考えさせられました。

というのも、そのお客様は普段から会計事務所にお任せしますというのが強い方でした。
その、お任せするという考え方が自分自身で考える力を奪ってしまったのではないかと思いました。

その結果、よくわからないことは会計事務所に任せれば代わりにやってくれるから、自分では考えずに会計事務所へ任せれば良いという思考になったのだと思います。

それまでは、私自身、親切心から「なんでもお任せ下さい」と言っていましたが、この件をきっかけに「なんでもお任せくださいは、必ずしもお客様のためにならない」のだと実感しました。

 

まとめ

「代わりにやる」と「やり方を教える」とでは、私は「やり方を教える」の方がお客様のためになると思っています。
それは、やり方を教えてお客様にやっていただくことが、お客様自身で考えていただくきっかけとなり、お客様自身で考えていただくことが、お客様の成長につながるからです。

また「代わりにやる」よりも「やり方を教える」方が何倍も難しく、教える方は本当に理解していなければなりません。
ですので、私自身のスキルアップにもつながり、そして最終的にはお客様へより良いものを提供することにもつながります。

今回は、少し抽象的な話となってしまいましたが、「やり方を教える」の方が本当はお客様のためになると思っているというお話でした。

 


□編集後記□
今日は、税理士登録時研修の2日目でした。
やっぱり丸1日の研修はツライです。
しかし、明日が最後なので頑張ります。

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